2014年6月10日火曜日

背表紙の読書

 大学の授業では、かなりの量の「参考文献」が紹介される。
 もちろん、科目全体で必要となる基本的なものはシラバスに記載されるし、シラバスに記載されているものは図書館の参考図書コーナーに配架されている。
 問題は、個別授業で紹介される図書である。その回の講義内容に関わるだけで、科目全体にはさほど重要でも無い場合だ。私の場合も、例えば「人間学Ⅰ」の授業で紹介した本はかなりの数になる(Facebook上で公開)。そして、これはシラバスには載せていないので、図書館で一定の場所にまとめて配架されているわけでもない。
 勢い、そのような書物は、授業のノートに記されるだけで終わってしまいがちになる。
 だが、これは勿体ない。

 授業で紹介する以上、担当者はその文献を実際に読み、尚且つ、紹介に値するとの判断を下したのだ。可能な限り、読んでみた方が良いに決まっている。
 そうはいうものの、大量に紹介される書籍をすべて読むなどということは、まず不可能である。

 では、どうするか。

 図書館などでその本を探し出し、その背表紙を読むのである。
 可能ならば(その気があれば)、実際に手に取り、乱落丁を確認するような感じでパラパラとページをめくってみる。面倒ならば、目次を確認するだけでもかなり違う。
 人間の感覚器官は、いわばチャンネルのようなものである。たとえわずかな信号であっても、複数のチャンネルから入力された情報は、より強く印象に残る。わざわざ図書館にまで足を運び、検索まですればなお印象は強くなる。

 この「背表紙の読書」を繰り返すだけでも、気がつかない内に、授業理解に大きな差が出てくるだろう。

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